brilliance




どこまでも続く空の青、輝く太陽の金。

見渡す限りの草原の緑。

心地よい風が吹けば、どこか甘く優しい香りが届く。

所々に咲く、小さな草花の匂いだろうか。



ここは、どこだろう。



『佐藤』



聞きなれた声を耳が拾った。

でも、思い出せない。

誰が呼んでいるのだろう。



『佐藤』



もう一度、声が聴こえた。

まるで囁くように甘く鼓膜を揺らす。


『不破…』


自分の口から、言葉が零れた。

不破。

思い出した。これは、不破の声。

姿を探そうと視線を上げると、目の前に現れた不破の姿。

黒い半袖のTシャツに、スラックス。

太陽の光を浴びた黒髪が、少し茶色掛かって見えた。

自分との距離は、ほんの数歩。

そうだ、不破と一緒に、此処へ来ていたのだ。

状況がやっと飲み込めると、そっと差しだされた手に、ごく自然に手を重ねた。

繋がれた手は、温かい。


『どこ行くん?』

『見せたいものがある』


淡々とした口調とは反対に、その表情が、瞳が、穏やかになったのが分かった。

見入られて我を忘れていた事を、繋がれ引かれた手によって引き戻され気付く。

踏みしめる草原の感触。

耳元に届く、鳥の声。

また、風が吹いた。



『あれだ』


少し小高くなった丘。

ようやく足を止めた不破が指し示す指の先には…。











「佐藤」


不意に、不破の声が頭に響いた瞬間。

全ての世界が、消えた。

五感全てが闇に包まれ、何もない世界が現れる。


「佐藤」


黒の世界で唯一聞こえる愛しい声。

その声に誘われて振り返った先には、光。


「佐藤」

「…んー…」

「もう夜だ。どうする」

「ん…?」


光の先には、不破の顔。

心地いいベッドは、不破の匂いがした。


「泊まって行くのか?」


優しい声が耳をくすぐる。

部屋の時計を視界に入れると、午後8時を過ぎようとしていた。

2時間ほど熟睡してしまっていた事を、まだ何処か夢の中の頭で理解する。


「ん…泊めて」


寝起きでどうしても掠れてしまう声。

今にも閉じてしまいそうな重い瞼に対抗出来ず、再び包まれる、闇。

でも、シーツの気持ちよさも、不破の匂いも、声も。

そして、髪を撫でる不破の手も、全て感じられる。

触れる手の優しさに、安堵する。

慈しむ愛情を持った手に触れられる事に、いつの間にか慣れてしまっていた。

慣れて、安心出来るようになった。

全身で、甘えられるようになった。


「夢…見た」

「どんな」


どんな…どんな夢だっただろう。

ぼんやりと霧掛かって、思い出せない。


「…忘れた。でも、不破と一緒やった」

「そうか」

「もう少しで、何かが見えた気がするんや」

「何か?」

「そ。よく分からへんけど、…きっとええ事やったと思う」

「そうか。邪魔をしたな」


髪から頬に触れた不破の手。

そっと自分の手を重ねて、ゆっくりと目を開ける。


「でも、起きたら不破がおったから、ええわ」


それが嬉しくて、少しくすぐったくて、照れ隠しのように笑ってしまう。

繋いだ手に、ほんの少しだけ力が入った。

それを合図に目を閉じれば、唇に優しい感触が降りてきた。









夢の続きは見れないけれど


いつか覚めてしまうのならば


今、この目に映る


この手に触れる愛しい存在を


君という存在を、常に感じていたい





君という光に、包まれていたい





















*****2011/02/17
うたた寝してたら夢にシゲが出てきました。
桜上水ユニのシゲが可愛かった。水色似合うよ水色!
それにしても…うちのシゲは大地によく懐いてます。笑。